”アルカリイオン水”はただの愛称であり深い意味はない
「アルカリイオン水」とは、メーカーがつけた愛称である。
現代社会では、イメージが大切である。
商品名はもちろん、
社名ですらイメージを大切にする時代なのである。
イメージを大切にして社名変更する上場企業も珍しくはない。
水の世界でも「ミネラルウォーター」という代表的存在がある。
世の中の人は、
この水が「ミネラルたっぷり」と信じているはずである。
しかし実際のところ、
水道水にもミネラルが適度に溶け込んでいる。
だが水道水を、ミネラルウォーターと呼ぶ者はいない。
「〇〇のおいしい水」というと、
あたかも〇〇でいま、取水された水のように想像される。
しかし、洞窟の中や川のせせらぎの横で、
取水してペットボトル詰めするのを見たことはないことだろう。
なぜなら、水の販売には殺菌効果が条件となっているためである。
殺菌は現地ではできない。
それに、どういう基準でおいしいと決めたか表示されていない。
「アルカリイオン水」も同様であり、イメージを大切にしている。
ところが、頭をもたげると叩きたくなるのが人間共通の習性である。
特に、平成4年後半、公的機関からも叩かれた。
これは「アルカリとアルカリ性」
「酸と酸性」の捉え方の違いに端を発している。
栄養学の専門家は、「アルカリと酸」から判定を下す。
しかし、医師やその他の専門家まで
「アルカリと酸」で判定を下すようになったのだ。
酸と酸性の違い
「酸性」とは、酸の持つ基本的性質のことで、
水素イオン(H+)の割合をpH0~7で表現する。
これに対して「酸」は、水の中でH+を遊離できるものや、
塩基を中和して塩を作る酸性物質のことで、
結果としてpH0~7を示す。
アルカリとアルカリ性び違い
「アルカリ性」とは、アルカリの持つ基本的性質のことで、
水素イオンpH7~14で表現する。
「アルカリ」は、水に解けてOH-を出す水酸化物や
酸を中和して塩を作る塩基性物質のことで、
結果としてpH7~14を示す。
しかし、どちらも結果は同じである。
ここが専門家の落とし穴のようである。
専門家は、水そのものを軽視し、
水に含まれているものが出した結果しか見ない。
私は皆さんに、水そのものを見てほしいのである。
そうしないと
「水になにがどれくらい含まれているか」、
こればっかりが論争の対象となるからである。
そして、アルカリ性というとすぐ、
アルカリ性を示す物質がたくさん入っていて身体を害するとか、
胃酸を中和するなどのコメントが出てくる。
これを権威ある大学教授や医師や各分野の専門家が、
信用と影響力が絶大なテレビや新聞や写真などで
コメントするわけなので、世間が大混乱する。
「アルカリイオン水」というイメージ表現に、
問題はあったのである。
繰り返し言うが、これはあくまでも愛称にすぎないのである。