緑黄色野菜のβカロチンには抗ガン作用の効果あり
緑黄色野菜というのはホウレン草やニンジン、
カボチャなどのように、
中まで緑や黄色などの色の濃い野菜で、
可食部(食べられる部分)100グラム中βカロチンの含有量が
600マイクログラム以上のものをいい、
ナスやキュウリのように
表面だけ色づいてるものは淡色野菜という。
この緑黄色野菜と淡色野菜の成分を平均値で比較すると、
緑黄色野菜には100グラム中βカロチンが淡色野菜の50倍、
ビタミン B1は1.5倍、ビタミン B2は4.5倍、
ビタミン C は2.5倍、カルシウムは3倍、鉄分は5倍、
このほか葉緑素や繊維質など健康維持に必要な栄養素が
豊富に含まれているのが特徴である。
βカロチンの抗ガン作用
緑黄色野菜は、カラダの毒消しを行うことで知られている。
それは、緑黄色野菜に多量に含まれているβカロチン、
ビタミン C、ビタミン E に、
それぞれ抗ガン作用があるからである。
βカロチンがなぜ発ガンを抑えるのかというと、
βカロチンには発ガンの促進と関連を持つ、
体内のある種の酸化反応を防止する作用があり、
これがガンを抑えているのではないかと考えられている。
ビタミン C、ビタミン E の抗ガン作用
βカロチンのほか、緑黄色野菜に多いビタミン C や
ビタミンEにも、抗ガン作用のあることが知られている。
例えば、日本人に多い胃ガンの有力原因である発ガン物質に、
ニトロソアミンがある。
これはハム、ソーセージなどの
発色剤として使われている亜硝酸塩に、
二級アミン(魚などに含まれている窒素化合物の一種)が
胃の中でいっしょになってできる発ガン物質である。
普段このように胃袋の中では、
発ガン物質が自家製造されている。
ところが幸いなことに、ビタミン C には、
アミンからニトロソアミンになる反応を
阻害する働きがあり、完全に抑制する。
つまり、ビタミン C は亜硝酸を還元して、
アミンと反応する性質を失わせてしまうのである。
このような働きはビタミン E にもある。
となると、「ビタミン C とビタミン E はどちらがよいか」
という疑問がでてくるだろう。
これについて国立ガンセンターは、
「ビタミン E のほうが有効」だと述べている。
ビタミン C は水溶性、ビタミン E は脂溶性である。
ニトロソ化反応は、
生体の脂肪の多い条件下で起こることがある。
なのでその時はビタミン C より、
脂溶性の抗酸化作用のあるビタミン E のほうが、
より効果的というわけである。
ビタミンEの抗酸化作用
ビタミン E の抗酸化作用について、
簡単に説明しておく。
食物油や魚油を放置しておくと、
腐って濁り、毒性を持ってくる。
これは脂肪の中の不飽和脂肪酸(リノール酸など)
が酸化されたもので、過酸化脂質と呼ばれている。
過酸化脂質はかなり有毒物質で、動脈硬化、
糖尿病、ガンの原因とされている。
その点ビタミン E は、
サビ止め効果で酸化を防ぐ作用を持つため、
ガンの予防に効くというわけである。
調理済み食品とその栄養価
このように緑黄色野菜には、
抗ガン作用を持ったビタミンが豊富に含まれている。
また、カルシウムや鉄分などのミネラルも豊富。
しかし最近では、ちょっと温めたり、解凍するだけで
すぐに食べられる調理済み食品の利用が高まっている。
調理済み食品の利用度の低い家庭の栄養状態をみると、
エネルギー、タンパク質、鉄分、ビタミン B1、
ビタミン C は必要量を満たしており、
カルシウム、ビタミンA、ビタミンB2もほぼ満足できる状態である。
一方、調理済み食品の利用度の高い家庭では、
カルシウム、ビタミン A、ビタミン B2の摂取量は、
必要量の80%前後にしか達していない。
何事によらず、今は文明の時代で、家庭の台所も冷凍冷蔵庫、
電子レンジの普及で、食事は調理済み食品に頼る、
手抜き料理でそこそこに済ます、
といった傾向が強くなっているようである。